特養に入れない時はどうする?待機中にできる5つの選択肢
特養に入れない・待機期間が長い時の5つの選択肢を解説。有料老人ホーム・サ高住・グループホーム・老健・在宅介護サービスの費用比較と、入居しやすい特養の探し方も紹介。
特養に申し込んだけど何年待ちって言われて…その間はどうすればいいの?
特養待ちの間にも使える選択肢は複数ありますよ。費用や条件を比較して、合う方法を見つけましょう。
【最短回答】特養に入れない時はどうする?
待機中は「有料老人ホーム」「老健」「在宅介護サービス」のいずれかで対応するのが一般的です。 特養を待ちながら別の施設を利用し、順番が来たら移るという方法もあります。
- すぐ入居したい → 有料老人ホーム・サ高住は空きがあれば即入居可能
- 一時的に利用したい → 老健(介護老人保健施設)は3〜6ヶ月が目安
- 在宅で頑張りたい → デイサービス+訪問介護で在宅介護体制を整える
※ 施設選びは本人の要介護度・認知症の有無・予算によって最適解が変わります。ケアマネジャーや地域包括支援センターにご相談ください。
なぜ特養に入れないのか?待機の現状
特別養護老人ホーム(特養)は、公的施設のため費用が安く、終身で入居できることから人気が高い施設です。しかし、入居を希望してもすぐには入れないのが現状です。
特養に入れない主な理由
| 理由 | 詳細 |
|---|---|
| 待機者が多い | 要介護3以上の入所申込者が全国20.6万人(厚生労働省・2025年4月1日時点) |
| 入居条件が厳しい | 原則として要介護3以上 |
| 地域差が大きい | 都市部は特に待機が長く、1〜3年以上のケースも |
| 緊急度の高い方が優先 | 申し込み順ではなく、必要度で判定される |
入居の優先度が高くなる条件
特養の入居は「申し込み順」ではなく、以下のような方が優先されます。
- 要介護度が高い(要介護4・5)
- 認知症の症状が重い
- 在宅介護が困難(介護者がいない・介護者が高齢など)
- 住居が不安定(持ち家がない等)
- 同居家族による虐待の可能性がある
つまり: 要介護3で介護者がいる場合は、待機期間が長くなりやすい傾向があります。その間をどう過ごすかが大切です。
特養に早く入れる方法|今日からできる5つのこと
「少しでも早く入りたい」という方のために、実際に順番を早める効果がある方法を5つにまとめました。
前提として最も大切なのは、特養は申し込み順ではないということです。厚生労働省の通知には、次のように明記されています。
施設への入所の必要性の高い者の優先的な入所に努めるよう
— 厚生労働省「指定介護老人福祉施設等の入所に関する指針について」(令和5年4月7日 老高発0407第1号による改正)
判定は「介護の必要の程度」と「家族の状況」で行われます。つまり、今の困っている状況を正確に伝えられているかどうかが順番を左右します。
方法1:複数の施設に同時に申し込む
最も効果的で、最も見落とされている方法です。 特養の申し込みは1人1施設ではなく、複数の施設に同時に申し込めます。
10か所に申し込めば、単純にそれだけ空きが出る機会が増えます。申込書は施設ごとに必要ですが、記入内容はほぼ同じなので、1枚作れば あとは書き写すだけです。
方法2:申込書の「困っている状況」を具体的に書く
判定は書類の情報をもとに行われます。「大変です」ではなく、事実を数字で書いてください。
| 書き方 | 例 |
|---|---|
| ❌ 弱い書き方 | 夜間の介護が大変です |
| ✅ 強い書き方 | 夜間に3〜4回起こされ、介護者は連日2〜3時間しか睡眠が取れていません |
| ❌ 弱い書き方 | 家族が高齢です |
| ✅ 強い書き方 | 主介護者は78歳で、腰椎圧迫骨折の既往があり、移乗介助ができません |
遠慮して控えめに書くと、実際より軽い状態と判定されます。 事実をそのまま伝えることが大切です。
方法3:ケアマネジャーに「意見書」を書いてもらう
判定の際、市町村は担当のケアマネジャーから在宅生活の困難度を聴き取ることがあります(前述の厚労省指針)。
つまり、ケアマネジャーが現状の深刻さを把握しているかどうかが重要です。「実は夜眠れていない」「入浴介助でぎっくり腰になった」といったことは、聞かれなければ伝わりません。定期訪問の際に具体的に相談しておいてください。
方法4:状況が変わったら「申込内容を更新」する
これも見落とされがちです。申し込みは出しっぱなしにせず、状況が悪化したら必ず施設へ連絡して内容を更新してください。
- 要介護度が上がった
- 認知症の症状が進んだ(徘徊・昼夜逆転が始まった)
- 介護者が入院した、体調を崩した
- 転倒・骨折した
これらは判定の点数に直結します。古い情報のまま置かれていると、順番は動きません。
方法5:ショートステイの利用実績を作っておく
ショートステイを繰り返し利用していると、在宅生活が限界に近いという実績になります。また、その施設に併設の特養がある場合、本人の状態を職員が把握しているため、受け入れの判断がスムーズになることがあります。
要介護1・2でも入れる「特例入所」という制度
「要介護3以上でないと特養には入れない」と諦めている方に、必ず知っていただきたい制度です。
原則は要介護3以上ですが、要介護1・2の方でも、在宅生活が著しく困難な事情がある場合には入所が認められます。 これを特例入所といいます。平成27年4月から設けられた正式な制度です。
特例入所の対象となる「やむを得ない事由」(4つ)
厚生労働省の指針では、次の4つが要件として示されています。
| # | 要件 |
|---|---|
| 1 | 認知症であることにより、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られ、在宅生活が困難な状態 |
| 2 | 知的障害・精神障害等を伴い、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さ等が頻繁に見られ、在宅生活が困難な状態 |
| 3 | 家族等による深刻な虐待が疑われる等により、心身の安全・安心の確保が困難な状態 |
| 4 | 単身世帯である、同居家族が高齢又は病弱である等により、家族等による支援が期待できず、かつ、地域での介護サービスや生活支援の供給が十分に認められないことにより、在宅生活が困難な状態 |
出典:厚生労働省「特別養護老人ホームの「特例入所」に係る国の指針」
4番目に注目してください。 「ひとり暮らし」または「介護している家族自身が高齢・病弱」というのは、決して珍しい状況ではありません。該当するご家庭はかなり多いはずです。
特例入所の申し込み方法
手続きは難しくありません。
- 入所申込書に、特養以外での生活が著しく困難な理由を付記して申し込む
- 施設が市町村に状況を報告する
- 施設の入所検討委員会が、市町村の意見も踏まえて必要性を判断する
ポイントは1番です。 要介護1・2の方は、「なぜ在宅では難しいのか」を申込書に書き添える必要があります。ここを書かずに出すと、要介護度だけで判断されてしまいます。
書き方がわからない場合は、ケアマネジャーに相談してください。 日頃の状況を最もよく知っている専門職です。
選択肢1:有料老人ホーム(介護付き・住宅型)
有料老人ホームは、民間企業が運営する介護施設です。特養に比べて費用は高いですが、空きがあれば比較的すぐに入居できるのが大きなメリットです。
有料老人ホームの2つのタイプ
| タイプ | 特徴 | 月額目安 |
|---|---|---|
| 介護付き有料老人ホーム | 施設のスタッフが24時間介護を提供 | 15〜35万円 |
| 住宅型有料老人ホーム | 外部の介護サービスを利用する形式 | 10〜25万円 |
メリット
- 空きがあればすぐ入居できる(待機なし)
- 施設数が多く、希望のエリアで見つけやすい
- 個室が基本で、プライバシーが確保される
- レクリエーションや設備が充実していることが多い
デメリット
- 月額費用が特養の2〜3倍
- 入居一時金が数十万〜数百万円かかる場合がある
- 施設によってサービスの質に差がある
選ぶときのポイント: 見学は最低3施設以上行きましょう。食事の試食ができる施設もあります。入居一時金0円の施設も増えていますので、予算に合った施設を探してみてください。
選択肢2:サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
**サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)**は、バリアフリー対応の賃貸住宅に安否確認と生活相談のサービスがついた施設です。
特養との違いはサ高住と特養の違いは?、認知症の親の施設を探している方はグループホームの費用はいくら?が参考になります。
サ高住の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 月額費用 | 10〜25万円 |
| 初期費用 | 敷金(家賃の2〜3ヶ月分)程度 |
| 入居条件 | 60歳以上(自立〜要介護5) |
| 契約形態 | 賃貸借契約(退去の自由がある) |
| 介護サービス | 外部の介護事業所を利用 |
メリット
- 賃貸契約のため退去の自由度が高い(特養に入居が決まったら移れる)
- 入居一時金がかからない(敷金のみ)
- 比較的自立した生活ができる
- プライバシーが確保される(完全個室)
デメリット
- 介護が必要になると外部サービスの追加費用がかかる
- 24時間の介護体制がない施設が多い
- 要介護度が上がると住み続けられない場合がある
こんな方におすすめ: まだ自立度が高く、特養の待機中に「住まい」として安心できる場所がほしい方。特養に順番が来たら移る「つなぎ」としても使いやすい施設です。
選択肢3:グループホーム
グループホームは、認知症の方が少人数(5〜9人)で共同生活を送る施設です。家庭的な雰囲気の中で、日常生活を送りながらケアを受けられます。
グループホームの基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 月額費用 | 12〜20万円 |
| 初期費用 | 0〜30万円 |
| 入居条件 | 要支援2以上+認知症の診断 |
| 定員 | 1ユニット5〜9人 |
| 特徴 | 少人数・家庭的・認知症ケア |
メリット
- 認知症ケアに特化している
- 少人数のためスタッフの目が行き届く
- 料理や掃除など日常生活のリハビリができる
- アットホームな雰囲気で穏やかに過ごせる
デメリット
- 認知症の診断がないと入居できない
- 医療ケアが必要な場合は対応できないことがある
- 要介護度が重くなると退去を求められる場合がある
- 施設のある市区町村に住民票が必要
こんな方におすすめ: 認知症の症状がある方で、大規模な施設よりも家庭的な環境を希望する場合。特養を待ちながらグループホームで過ごすことも可能です。
選択肢4:介護老人保健施設(老健)
**介護老人保健施設(老健)**は、病院から退院した後、在宅復帰を目指してリハビリを行う施設です。「一時的な入居」として特養待ちの間に利用する方も多いです。
老健の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 月額費用 | 8〜15万円 |
| 初期費用 | なし |
| 入居条件 | 要介護1以上 |
| 入居期間の目安 | 3〜6ヶ月(長期入居は原則不可) |
| 特徴 | リハビリ重視・医師が常勤 |
メリット
- 入居一時金がかからない
- 月額費用が比較的安い
- リハビリ専門職(理学療法士等)が在籍
- 医師が常勤しているため医療面も安心
- 特養と同じく公的施設で負担限度額認定が使える
デメリット
- 原則3〜6ヶ月で退去が求められる
- 終身入居はできない
- 相部屋(多床室)の場合はプライバシーが限られる
- 生活の自由度は有料老人ホームに比べて低い
特養待ちの「つなぎ」として: 老健は「入居→退去→再入居」を繰り返すことが可能な場合もあります。ケアマネジャーに相談して、特養の順番が来るまでの計画を立てましょう。
選択肢5:在宅介護サービスを充実させる
施設に入居せず、在宅で介護サービスを利用しながら特養を待つ方法もあります。
在宅で利用できる主な介護サービス
| サービス | 内容 | 費用目安(1割負担の場合) |
|---|---|---|
| 訪問介護(ホームヘルプ) | ヘルパーが自宅を訪問して身体介護・生活援助 | 1回250〜400円 |
| デイサービス(通所介護) | 日中に施設に通ってリハビリ・入浴・食事 | 1回600〜1,200円 |
| ショートステイ | 数日〜2週間程度、施設に一時入居 | 1日600〜1,000円+食費等 |
| 訪問看護 | 看護師が自宅を訪問して医療的ケア | 1回300〜900円 |
| 福祉用具レンタル | 介護ベッド・車いす等のレンタル | 月200〜1,000円 |
在宅介護の組み合わせ例(要介護3の場合)
- 月〜金:デイサービス(週3回)+訪問介護(週2回)
- 月1回:ショートステイ(3泊4日)で家族の介護休憩
- 福祉用具:介護ベッド・手すりのレンタル
月額費用の目安: 3〜8万円程度(1割負担の場合)
在宅介護のメリット・デメリット
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 費用を抑えられる | 家族の負担が大きい |
| 住み慣れた自宅で過ごせる | 24時間の見守りが難しい |
| 本人の精神的な安定 | 緊急時の対応に不安がある |
| 家族との時間を持てる | 介護者の疲労が蓄積しやすい |
家族の「介護疲れ」に要注意: 在宅介護は家族に大きな負担がかかります。ショートステイを計画的に利用して「レスパイト(介護者の休息)」を取ることが、長く続けるコツです。
5つの選択肢の費用比較表
各施設・サービスの費用を一覧で比較します。
| 選択肢 | 月額費用 | 入居一時金 | 入居条件 | 入居期間 |
|---|---|---|---|---|
| 有料老人ホーム | 15〜35万円 | 0〜数百万円 | 施設による | 終身 |
| サ高住 | 10〜25万円 | 敷金のみ | 60歳以上 | 賃貸契約 |
| グループホーム | 12〜20万円 | 0〜30万円 | 要支援2以上+認知症 | 終身(条件あり) |
| 老健 | 8〜15万円 | なし | 要介護1以上 | 3〜6ヶ月 |
| 在宅介護 | 3〜8万円 | なし | 制限なし | 制限なし |
| (参考)特養 | 5〜15万円 | なし | 要介護3以上 | 終身 |
費用の安さ順: 在宅介護 → 特養 → 老健 → サ高住 ≒ グループホーム → 有料老人ホーム
※ 費用は地域や施設の設備によって大きく異なります。上記はあくまで目安としてお考えください。
入居しやすい特養の探し方
特養の待機を少しでも短くするための探し方のコツをご紹介します。
1. 複数の施設に同時申し込みをする
特養は何か所でも同時に申し込みが可能です。1施設だけでなく、通える範囲の特養にすべて申し込むことが基本です。
2. 新設・増設の施設を狙う
新しくオープンする特養は、一斉に入居者を募集します。自治体の広報やWebサイトで新設情報を確認しましょう。
3. 都市部以外も検討する
都市部は待機者が多いため、少し郊外の施設も視野に入れると見つかりやすくなります。
4. ユニット型個室だけでなく多床室も検討
ユニット型個室は人気が高いですが、多床室(相部屋)は空きが出やすい傾向があります。費用も安くなるメリットがあります。
5. 定期的に施設に状況を確認する
申し込み後も放置せず、半年〜1年に一度は施設に連絡して「まだ待っています」と伝えましょう。施設側に入居の意思があることが伝わります。
よくある質問(FAQ)
Q. 特養の待機期間はどれくらいですか?
A. 地域によって大きく異なります。都市部では1〜3年以上、地方では数ヶ月〜1年程度が目安です。要介護度が高い方ほど優先されるため、要介護3と要介護5では待機期間に差があります。
Q. 要介護2以下でも特養に入れますか?
A. 原則として入れませんが、やむを得ない事情(認知症で在宅が困難、虐待を受けている等)がある場合は、特例で入居できるケースがあります。市区町村の介護保険窓口に相談してください。
Q. 特養を待ちながら有料老人ホームに入居できますか?
A. はい、可能です。有料老人ホームに入居しながら特養の申し込みを維持し、順番が来たら移ることができます。ただし、有料老人ホームの退去条件(退去予告期間等)は事前に確認しておきましょう。
Q. 特養と老健の違いは何ですか?
A. 特養は「終身の住まい」として長期入居ができる施設で、老健は「在宅復帰を目指すリハビリ施設」で入居期間は3〜6ヶ月が目安です。費用は同程度ですが、目的が異なります。
まとめ
特養に入れない時は、待っている間の「つなぎ」の選択肢を知っておくことが大切です。
- すぐ入居が必要 → 有料老人ホーム・サ高住(空きがあれば即入居)
- 一時的に利用 → 老健(3〜6ヶ月。費用も安い)
- 認知症がある → グループホーム(少人数で家庭的)
- 在宅で頑張れる → 在宅介護サービスの組み合わせ(費用最安)
- 特養を早く見つけたい → 複数施設に同時申し込み+新設施設を狙う
どの選択肢が最適かは、ご本人の要介護度・認知症の有無・家族の介護力・予算によって変わります。ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談して、ご家庭に合った方法を見つけてください。
姉妹サイト「家族葬ガイド」では、介護から葬儀までの流れを解説しています。
